【私的レビュー】J1第3節_浦和レッズ vs セレッソ大阪

■試合結果

浦和レッズ 2-1(前半0-1) セレッソ大阪
得点者 33分 オウンゴール(C大阪)、61分 アレクサンダーショルツ、82分 安居海渡

 

■レビュー

20年ぶりとなる駒場でのホーム開幕戦で今季初勝利。

相手がどこであれ、内容がどうであれ、結果だけが求められた試合。

今季初めて得点を決め、代わった選手が違いを生み出し、

引き分けでもなく勝ち切った。

終わってみれば単なる勝ち点3以上のポジティブな要素が万歳だった。

 

満を持してというか、やっとスタメンのCFに興梠が入った。

現状の最前線はやはりこれが最適解だろうとあらためて確認。

周囲に活かされるタイプのリンセンよりも、周囲を活かせる慎三。

いい悪いということではなく、今チームに必要なのは後者で。

ポストは収まるし、技術が高く視野も広いので、

ボールが入ったときの安心感が違う。

正直フォローが少ない状況でも何とかできてしまうから、

他の選手は自分が取るべきポジションに前を向いて入りやすい。

「興梠効果」は本当に凄いが、36歳の選手を核に据えるのは無論リスキーな選択。

使えば計算が立つことはスコルジャさんもわかってはいたはずだが、

替えが効かない特性を持つ選手だけに、できればそこに頼る選択はしたくなかったか。

とはいえ、ここまで即効性があると使えるまで使いたい。

彼を使いながら最低限の結果を出す。

同時に本来やりたいサッカーも構築していく。

スコルジャ体制の初期はこの2軸で進めていくのが得策かもしれない。

 

他にも、開幕2試合スタメンを外れていた関根が交代で入って意地と気迫を見せてくれたし、同じく交代出場の荻原も期待を上回る素晴らしい出来だった。

そして、殊勲の決勝ゴールを挙げた安居海渡。

江坂が抜けた今季は小泉以外にトップ下の選択肢はないのかと危惧していた。

しかし、前からプレスをかけて早く攻めるサッカーを志向するなら、

元々ボランチでボール奪取能力に長ける上にあのシュートがある安井は充分に対抗馬になるうることをこの試合で証明してくれた。

とにかく、あのコントロールショットは素晴らしかった。

また一人、楽しみな選手が増えた。

 

次節は開幕3連勝と好調のヴィッセル

ここを勝って2勝2敗の五分に戻し、エンジンをかけていきたいところだ。

 

 

 

 

【私的レビュー】J1第2節_横浜F・マリノス vs 浦和レッズ

■試合結果

横浜F・マリノス 2-0(前半1-0) 浦和レッズ
得点者 18分 アンデルソン ロペス(横浜FM)、89分 ヤン マテウス(横浜FM)

 

■レビュー

2試合連続の0-2敗戦。力関係を考えると妥当な内容と結果。

開幕戦の完敗を受けてスコルジャ監督がスタメンをいじるのかに注目したが、指揮官が選んだのは継続性。一人の変更もなかった。

 

まず、ハイプレス戦術については、現段階ではやはり相手が悪かった。

ハイラインの超攻撃的スタイルを何年も継続しているマリノスは、プレスの「かけられ方」への慣れと対応の余裕が別格だった。

レッズの選手が猛烈な勢いでプレスをしかけても、誰一人として全く慌てない。

奪いに来た相手を華麗にいなし、かわした後には視界が開け、余裕をもってつなぐ、持ち出すとやりたい放題だった。

これは選手たちが多くの失敗と成功を繰り返してきた経験の賜物であることは間違いないが、恐らくマスカット監督の指導哲学に因るところも大きいのではないか。

リスクを冒してもチャレンジをすることを推奨し、チャレンジした結果のミスは咎めず、次の成功を期待する。

逆にリスクを恐れた消極的なミスは嫌い、チャレンジできない選手は外されていく。

マリノスが前任者のポステコグルーの時代からこの姿勢を貫き通す過程では、GKが前に出する、DFがボールを奪われるなどのミスから失点するシーンも多く見てきた。

それでもブレずにやり続け、結果が伴うにつれてチャレンジの数は減らずにミスは減り、選手は自信を深めていき、昨年の優勝により自身が確信に変わったのだと思う。

レッズもこの難しいハイプレスサッカーで成功を収めたいなら、同じように信じてやり抜くこと、我慢と忍耐が必要だ。

前回も書いたが、決して一朝一夕で成せる難易度のサッカーではないはずなので。

 

また、もう一つ注目していたCFだが、やはり興梠慎三は素晴らしいの一言。

柔らかいポストプレーや中盤に降りてきてからの正確なパスには彼の能力からすれば想定内で、「ああ、懐かしいな」というのが率直な感想だった。

何より後半開始直後、自身ファーストプレーのDFに走り勝ったスプリントに驚かされた。

そういえば、鹿島時代の興梠はスピードで裏に抜けるプレースタイルだった。

レッズに来てからは前線で起点になるようなプレーが多くなっていたから、ゴール前以外であんなに速く走るところは久しく見ていなかった気がする。

36歳になってもコンディションさえ良ければあれだけのスピードで走れて、加えてあの技術と視野の広さ。次こそ、スタメンで長い時間見たい。

 

新しい指揮官のもと、難易度の高いサッカーに取り組む中で、正直開幕から数試合の対戦カードはなかなか厳しい。

ホーム開幕戦となる次節の相手セレッソについては、正直清武中心に成熟しつつあった昨季のチームの方が怖かった。

彼が開幕前に怪我で離脱し、直前に加わった香川をチームとしてどう活かすのかもまだ模索中な印象なので、付け入る隙はある。

久々の駒場開催のホーム戦で、今期初得点と勝利を見たい。

 

【私的レビュー】J1第1節_FC東京 vs 浦和レッズ

■試合結果

FC東京 2-0(前半0-0) 浦和レッズ
得点者 66分 オウンゴール(FC東京)、74分 渡邊凌磨(FC東京)

 

■レビュー

声出し応援完全解禁の雰囲気は素晴らしかった。

試合前から久々に鳴り響く大音量の「We are Reds!!」にまず感動。

 

が、試合は残念ながら完敗。チーム作りはまだまだ時間がかかりそうな印象。

今期のテーマとなる「前線からのハイプレス」については、やはり朝一夕で成せるものではないと痛感。

プレスの角度、タイミング、連動性など、スキル面の難易度はもとより、フィジカル面でも全34試合、毎回90分間続けることは難しい。

数試合うまくいかなくても当然と割り切り、焦れずにやり続けながら、プレスの精度向上、時間帯による強弱の見極めなどを突き詰める必要がある。

その点大久保は得意のドリブルで違いを作るタスクもこなしつつ、後半まで愚直に相手GKまで追い回すことができていて、今後に期待が持てた。

 

試合後のスタッツを見てあらためて気になったのは、シュートの質と量。

FC東京はシュート9本、枠内3本で2得点。

対してレッズはシュート4本、枠内0本。当然の無得点。

個人的には枠内シュートの割合の高いことが必ずしも良いとは思っていない。

むしろ、「捨て玉」的なミドルシュートをもっと打っていい。

リカルドサッカーからの癖なのか、きれいな崩しからのシュートを狙ってしまう。

が、セオリー通りでやりたいことが分かりやすいので、大概は予測して阻止される。

崩せないなら、枠を外しても構わないから少し遠目からでも積極的に打つ。

中盤で持たせるとシュートもあることを警戒させることで、相手の守備ラインを引き出し、背後のスペースを空ける。

スペースがあれば恐らくリンセンの裏抜けはもっと活きるだろうし、大久保、モーベルグの両翼も前方の視界が開けてより創造性を発揮できるはず。

前々から思っているが、小泉にそういうシュートをもっと求めたい。

高いスキルがあるのだから、小さくまとまらずにもっと無茶もして欲しい。

 

あとはやっぱりCFのスターターは興梠慎三を希望。

リンセンは仕事人で、昨年の悔しさもあってか良くも悪くも前のめり過ぎな状態。

技術があってタメを作れて、二列目三列目を上手に活かせる、メンタルの浮き沈みもなく常に冷静沈着なベテランに最前線にいてほしい。

今日のゲームも69分から20分強の出場時間ながら、存在感は絶大だった。

ハイプレス戦術とのジレンマかもしれないが、彼の落ち着きと安定感は、ゲームの入りにこそ必要なんじゃないかと。

今日の試合でのリンセンと慎三の違いをスコルジャさんがどう見るか。

次戦に向けての楽しみの一つでもある。

 

その次戦、国内最強のF・マリノス相手に何ができるのか?

あるいは現時点では何もできないのか?

仮に勝てれば得られる自信は計り知れないし、引き分けでも手ごたえあり、負けても修正すべき点が明確になれば良し。

シーズンは始まったばかり。一喜一憂せずにチームの成長を気長に見守りたい。